受賞作品講評
約1センチ幅で茶と無着色な材料をドーナツ形に規則正しく並べた量感あふれるオブジェ的な作品である。そもそも造形することは素材の質感を無視しては成立しない。竹の素材感は堅くしなやかで作者の思惑に沿って様々な形に変容する。得てして正円の造形は求心的な力が働き、バランス、安定感は増すがこぢんまりとしてしまう傾向がある。しかし、この作品は竹の堅い外側を使用しつつ、遠心力を感じるように色彩の違う素材感に隙間を持たせて空間感を与えている。作者の造形に対する思索と感性が滲み出た良作である。
(日原公大)
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