手形を紛失したら?
手形を紛失したからといって、手形支払人が簡単に手形の再発行をしてくれるとは限りません。
もし手形支払人が手形を再発行した場合、 同じ手形が2枚存在する事になり、 手形支払人は両方の手形を決済しなければならない場合があるからです。
@ まず、警察へ被害届けを出します。
A 紛失人は手形支払人に、支払銀行へ事故届けを出してもらうよう依頼します。 ただし手形支払人はこれに応ずる義務はありません。
支払期日に、盗まれた手形が銀行に持ち込まれた場合、銀行に「異議申立提供金」というお金を預けて、決済を止めてもらいます。
異議申立提供金を積むのは手形の振出人です。 振出人は、どのみち期日には手形を決済するお金を用意しなくてはなりませんから。
B 公示催告の申立てをします。
紛失手形を無効とし新たな善意取得者が出るのを防ぐため、紛失人は公示催告の申立てをして、除権判決を得ること。 公示催告とは、「当該手形を所持する者は、公示催告期日までに裁判所に届け出て、当該手形を提出すること。
もし届出・提出がないときは当該手形を無効とする」旨を告げるものです。 この公示催告期間は少なくとも6か月の期間が置かれます 。
C 公示催告期間内に届出がないとき、申立人は、公示催告期日に裁判所へ行き、除権判決を受けます。 この除権判決があれば、申立人は、手形が手元になくとも、手形を所持するのと同様の地位を回復します。
除権判決までの間に当該手形を善意取得した者が現れた場合、 申立人を保護すべきだとする説が有力ですが、最終的な結論はまだ出ていません。
D 公示催告期間内に手形期日になり、手形が呈示された場合は、上記Aにより手形支払人から支払銀行へ事故届が出ていれば、手形支払銀行は当該手形を「紛失」という理由で不渡返還してくれますが、この時、手形支払人はいったん異議申立提供金を積みます。また、事故届が出ていなければ、手形は決済されます。
E 公示催告期間内に届出があったり、上記Dのように手形が期日に呈示された場合、紛失人は、現在の所持人が善意の第三者に該当しない旨を主張して裁判で争う以外あるません。しかし、この主張を立証するするのはそう簡単ではありません。
裁判に勝った側が手形金額の支払いを受けます。紛失人が裁判で負けた場合、拾得者など不当利得者を探し出し、紛失人がその者に不当利得返還請求をするしかありません。
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