1998/10/08
株式持合解消対策について
 

T.持合株式の交換制度を認める

U.企業年金の積立不足に保有株式の拠出を認める

V.塩漬金庫株ファンドを創設する

  1.角栄方式  A.共同証券 B.保有組合
  2.コンテンポラリー民間版金庫株ファンド

   (変形SPC方式)

W.日本銀行の株式担保金融を認める



T.持合株式交換制度


 1.自己株式消却のための株式取得の方法として、3年間の特

  例として、相対交換を認める。

 2.原則として、取得した株式は遅滞なく消却すべきであるが

  金融システム問題などの厳しい現下の経済情勢の下で、5年

  間の保有の特例を設ける。

 3.交換株式の譲渡益課税は、取得した株式の消却時まで繰り

  延べる。

 4.定足数の特例は求めない。


U.企業年金への保有株拠出


 1.平成13年(2001年)3月期の年金会計基準の変更に

  際し、年金の積立不足数十兆円が顕在化する。企業の側では、

  これを埋めるために追加の拠出をする必要がある(税法のル

  ールでは、3年以上で償却する。年金会計の見直しの意見書

  では15年以内に積立不足を解消する)。このため、企業は

  収益が大幅に悪化するのに加え、拠出は金銭に限られること

  から、キャッシュフローの面でも厳しい状況に陥る。年金基

  金等の側では、拠出が一時的に急激に増大して、その運用先

  として株式も選択することから、株式への需要が生じる。


 2.このため、企業年金の積立不足の解消のための企業からの

  追加拠出を保有株式によって行うことを可能とすれば、

  @株式市場の需給の均衡を崩さないことが可能になる。

  Aキャッシュフローなしで積立不足を解消することができる。

  Bキャッシュフロー確保のための保有株式の売却による一時

   的な株価暴落を避けることができる。


 3.また、株式での拠出については、薄価での拠出を認め、再

  評価を行わないことによって譲渡益課税を課さないことにす

  れば、企業にとっては、よりメリットが大きい(ただし、株

  式での拠出であっても、拠出自体は損金であるため、その期

  において実際に譲渡益課税が課されるほどの利益が残ること

  はあまり考えられない)。

 

V.塩漬金庫株ファンド


 (1)角栄方式 参考

  A.日本共同証券株式会社

  1. 銀行・証券・生損保の出資により自己売買専業の証券会社を設立し、資本市場の危機回避と安定化を目的として株式等の買入を行う。
  2. 資金調達は資本金の他、銀行団の協調融資、日証金経由の日銀借入による。
  3. 持合株式の時価評価が行われる平成15年(2003年)までの時限機関とする。

  B.日本証券保有組合

  1. 過剰エクイティや持合解消による供給過剰の改善を通して資本市場の機能回復をはかる。
  2. 民法上の組合として設立し、銀行・証券・生損保・事業会社等、持合株式保有者を組合員とする。
  3. 有価証券による現物出資の他、組合に売却した株式売却代金の一割相当額を現金出資する。
  4. 出資金の他、日証金経由の日銀借入により資金調達を行う。2003年までの時限機関とする。

(2)コンテンポラリー民間版金庫株ファンド



1.総額は時価総額の1割(20兆円)程度をめざす。


2.半分強を、主に銀行等金融機関株の現物出資によって募る。

  現物出資に関しては将来的な自社株消却目的の買戻を前提

  として非課税扱いとする。買戻は消却可能利益の発生が期

  待できる3年から5年以内に行うものとする。


3.現物株を担保にABSを発行、国が保証。優先部分は、債

  券主体の一般投資家に販売、劣後部分は指定単が引き受け

  る。ABSの利払いは株式の配当を原資とする。縁故地方

  債+αをめざす。


4.調達した現金は、持合解消を図りたい企業から相対で買う

  か、市場で株式を買い入れると共に、短期的なキャッシュ

  ポジションはB/KCD購入などの流動性原資として活用

  (出資銀行へのインセンティブ)。


5.現物出資した株式については個別銘柄のストックオプショ

  ン(双方向のゼロコスト化も)を利用し、将来的な自社株

  消却のコストを確定。



W.日銀の株式担保金融


 1.日銀法第33条1項2号は国債その他の有価証券を担保と

  する貸付を規定している。不稼働資産と化した持合株式を担

  保として認めることは金融機関のキャッシュフローを高める

  とともに資金決済の円滑化・信用秩序の維持に資するもので

  ある。


 2.平成12年(2000年)導入予定のRTGS(即時現金

  決済)もわが国では有担保無料の欧州型を予定しており、金

  融機関の担保確保が緊要の課題となっている。


 3.担保率は銘柄にもよるが、おおむね8割を目途とする。

 

X.結び


 1.持合解消が急激に行われる時、株式市場が過度の下落圧力

  に見舞われ、過剰な不稼働資産である持合株式をかかえた金

  融機関の信用不安を増幅させることになる。


 2.以上の提案はわが国固有の株式持合制度を延命させること

  を目的とするものではなく、あくまで持合解消の流れの中で

  の副作用に対し、ダメージコントロールを施そうとするもの

  である。


 3.また、極めて配当性向の低い株主軽視の日本型経営を容認

  するものではなく、上記提案がうまく機能するには配当性向

  を高めていかなければならないという問題提起も合わせて行

  う。配当の二重課税の是正も必要である。


 4.今、ロシアや中南米の新興市場で大損害をこうむったヘッ

  ジファンドが再び大がかりな日本ウリのポジションをかまえ

  ている。


 5.わが国が真剣に金融再生健全化・景気対策に取り組んでい

  るとき、持合解消を奇貨として「価格の歪みを正す」という

  大儀を振りかざすことは、マネー戦争のヤヌス的一側面を物

  語る。


 6.われわれは経済・金融の非常事態に対処する危機認識と断

  固たる決意をもって迅速かつ大胆な政策を実行していかなけ

  ればならない。



以上