この10年間、日本経済の潜在成長率を落としめてきた最大の要因は産業サイドの過剰債務問題であり、金融機関の不良債権はその結果である。過剰債務が存在する限り、資産の投売り、設備投資の抑制、リストラと、新たなデフレの悪循環は続く。これらの諸問題の抜本的解決には、新たなシステム構築が求められている。
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T 経済安保会議の創設と危機管理対応補佐官
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官邸(総理)による直接指揮の下で問題を解決することにより、問題の病根を早期にそして確実に消滅させることが不可欠である。過剰債務問題を所管する役所がない以上、抜本処理策遂行のためには、関係府省間の合議型政策決定プロセスの改革が必要であり、産業と金融の一体的再生について総理から直接指示を受けて調査・立案し、随時進言できる体制を作るべき。このために「経済安全保障会議」を設立する。また、総理直属の危機管理対応補佐官を任命し、問題解決に資する省庁間の調整や、金融・産業両分野の調査・調整と戦略の総合化をはかる(図2参照)。
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U 過剰債務カットの枠組み(産業再生委員会・平成復興銀行)
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企業の過剰債務削減は、金融機関の不良債権削減とイコールであり、これを一定の透明性あるルールの下で、計画的かつ、効率的に処理することが重要である。そのためには、上記補佐官をリーダーとする産業再生委員会及び、日本銀行の第二別口として平成復興銀行を創設し、産業と金融の一体的新旧分離再生を目指す(図1参照)。
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V 財政・金融は大胆かつ柔軟に
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企業の過剰債務削減または、金融機関の再編などの大手術を敢行することにより、大量の失業が想定されよう。こうした状況においては財政規律を保つという大前提を維持しつつも、企業再生や雇用対策に向けた歳出は「特別枠」を設けて確保すべきである。また、側面支援という意味から、時限を明確にした、政府による金融支援も不可欠であり、平成復興銀行が担当する。
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W ペイオフ完全実施のための条件整備
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来年4月のペイオフは完全実施するべきである。その前提として預金者の不安の根源が金融機関の健全性への不信にあることから、過去3年のデフォルト率と今後の地価下落を見込んだ緊急引当ルールを策定し、9月中間決算より適用する。過小資本行に対しては、手順を踏んで最終的に充分な公的資本を投入する。また、産業再生委員会・平成復興銀行を各都道府県ごとに発足させることで、地域産業の効率化を図ると同時に、都道府県も含めた公的資本の注入や最低資本金の大幅引上げ等を通じて、地域金融の機能を強化し、大再編に着手すべきである。ペイオフ解禁は本来、非常時においては適切な対応ではないが、上記政策を用いることによって、市場規律の活用と市場の安定を同時に求めつつ、産業・金融の一体再生を目指していかなければならない。また、ペイオフ解禁後の金融検査・監視体制強化のため金融検査士制度を導入するため立法化に取り組むべきである。なお、これらの抜本対策なしに完全ペイオフを実施した場合は、大量の資金シフト(100兆円〜200兆円)が予想され、暴力的調整に陥る可能性が高い。
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X 株式市場の動揺とドル不信への対応
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日銀の超金融緩和策にもかかわらず、デフレ下の円高が進行している背景は、米国へのマネー循環が変調をきたしていることによる。米国のバブル崩壊や、会計疑惑の背景には膨大な損失がひそんでいる。クレジット・デリバティブによる損失の飛ばしが限界に来ており、世界最大の対外債務国アメリカの資本主義体制の危機という様相を呈している。日本国政府・日銀は、効果的な円売り・ドル買い介入を徹底して行うとともに、非不胎化金融政策をとるなど量的緩和を更に進めるべきである。また、介入に伴う米財務省証券の購入で、米国の経常収支赤字を事実上ファイナンスしている現状を踏まえて、米国に経済かく乱要因の除去を強く求めるべきである。通貨の三極協調体制が機能しない以上、新たな行動を模索しなければならない。
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