2011/09/14
政治を前に進めろ
 
 民主党政権は、なぜ古賀茂明さんを使えないのか? 答えは、既得権やしがらみを断ち切った改革、例えば、公務員制度改革、電力自由化など全くやる気がないからだ。

 民主党が政権を獲った2年前、改革派と目されていた仙谷義人行政刷新大臣(当時)は、古賀さんを補佐官にしようとしたが、1週間でつぶれた。その後の仙谷氏は、「霞が関の守護神」の道をひた走る。

 今回、経産大臣を事実上クビになった鉢呂吉雄氏は、私と同じ衆議院第2議員会館に部屋があり、本会議から戻る時、よくエレベーターで一緒になった。私は「古賀さんを使いこなせない民主党」の話を2回ぐらいしたと思う。

 鉢呂氏が大臣就任のあいさつに来た時も「古賀さんを使うべきだ」と強く申し上げた。鉢呂大臣が古賀さんに仕事を与える検討をしていたかは不明だが、総合エネルギー調査会の原発政策にかかわる人事の見直しに強く言及していたという。つまり、脱原発派の委員をもっと増やせということだ。

 鉢呂氏のオフレコ懇談で「放射能つけちゃうぞ」と言ったという話が、各社異なる表現で報道された。果して先の委員人事見直し方針との因果関係はあったのか? 鉢呂氏の大臣辞任会見は、記者が命令口調で迫ったり、それをなじる怒号が飛びかったり、異様な雰囲気で行われた。このあたりの解説は長谷川幸洋氏の「ニュースの深層」にお任せしよう。

 古賀さんがこの2年間で使えた経産大臣は、枝野幸男氏で5人目。前4人は直島、大畠、海江田、鉢呂の各大臣。誰ひとり正面切って古賀さんを使おうとしなかった。海江田氏などは、松永事務次官を使って肩たたきまでやった。しかし、2人とも古賀さんより先にやめてしまった。

 古賀さんに仕事を与えれば、守旧派官僚との軋轢や抵抗が生ずる。これを乗り越えて政権運営をできる実力が民主党にはない。官僚の抵抗3大手法「リーク・悪口・サボタージュ」攻撃にあったら、民主党の大臣などイチコロだ。

 結局、官僚路線に乗るしかない。改革マインドなどとうに消えうせているが、その批判も受けたくないので、古賀さんを官房付きとして2年近くも幽閉しているのだ。

 鉢呂氏に最後通牒をつきつけた古賀さんは、もう一度やり直し。枝野新大臣に「仕事をくれないのなら、辞めます」とメールするしかない。

 枝野氏は官房長官時代、東電賠償問題で金融機関に「債権放棄をしろ」とか、口では威勢のいいことを言っていた。しかし、結果ともなわず。口先だけで終わっている。

 今回も「地域独占の見直し、発送電分離についてゼロベースで議論する」と言ったそうだが、就任会見の前に事務方のレクを拒否した姿勢は、どこまで貫けるか。相手は巨大は官僚機構である。いくら枝野氏が弁舌さわやかで聡明な弁護士であっても、多勢に無勢。

 本気の覚悟があるなら、絶滅希少種の古賀さんや、既に退官している改革派を呼び戻して裏方チームを作るしかない。こういう人事ができるか否かが鍵で、枝野氏の本気度はここ1両日で分かるだろう。

 官房長官時代のアドバルーン実績から見ると、口だけに終わる可能性が残念ながら高い。財務大臣当時の菅氏の二の舞か。

 これから福島第一原発事故処理の歴史的検証が本格化するわけだから、官邸の当事者だった枝野氏には是非とも、真実を隠さないでいただきたい。もし、枝野氏が事務方とガチンコバトルを繰り広げると、不都合な真実が次々とリークされることになろう。

 野田総理の所信表明演説は、官僚の短冊を美辞麗句でつないだ作文だった。恐ろしく中身のない演説だったので、野田政権がこの1ヶ月の間にやるべきことを逆提案しよう。

 復興増税の前にやるべきことは、国債整理基金のヘソクリ13兆円を始めとした埋蔵金の活用である。また、金額は小さいが議員歳費3割・ボーナス5割カットを恒久的に行い、国家公務員給与を2割カットする(みんなの党法案)。事業仕分けで仕分けられたはずの朝霞公務員住宅工事は中止。

 次に、円高デフレ対策の根本療法として、政府と日銀が政策目標を共有し、それに責任をもたせるため、日銀ボードメンバーの解任権を盛り込んだ日銀法改正を行うことだ。これも法案はできている。

 内閣人事局を作り、幹部公務員を特別職として任期付採用を行い、降格、民間登用などを定めた自民・みんな共同提案の法案を丸飲みすること。これを通せば霞が関の人事は劇的に変わり、予算の組み換えや、無駄削減、天下り根絶は容易にできるようになる。

 そして、東電救済の原発賠償機構法の執行停止を行い、規制を止めさせて、ミニ電力会社(PPS)や企業の自家発電能力を増強すれば、「欲しがりません、勝つまでは」式の統制型節電から解放される。

 第3次補正は、被災地の首長がいちいち東京まで陳情に来る必要のない一括交付金型にしたらよい。復興庁は仙台に置き、国交省や農水省の出先機関をその中に統合、県の関係部局とも出口で統合できる仕掛けを作る。

 こうしたことを1ヶ月で済ませるのが、スピード感をもって「政治を前に進める」ことだ。

 野田政権にはまず不可能であろうから、その時には補正予算だけ通して解散してもらうのが一番だ。だらだら野田内閣が引きずると、守旧派官僚のやりたい放題がコントロール不能となり、官僚ファシズムを招く恐れがある。