2012/01/24
野田首相の増税キャンペーン
 
巨大ブーメラン
 昨日、国会が開会した。この間、野田総理は、冬の増税セミナー、増税キャンペーンに興じていた。今週土曜日以降もキャンペーンやるようだ。しかし、国会開催中に政府案説明を国会外でしかも参加者制限でやるのは大いに疑問だ。

 野田政権は「増税は不可避」という抗しがたい空気をつくりたいようだ。増税の前にやるべきことはまるで手つかずだ。

 「2万5000人の国家公務員OBが天下りした4500の法人へ12兆1千億円の血税(その前年には12兆6千億円)にシロアリが群がっている構図がある。このシロアリを退治しなければならない」。

 これは、野田総理の発言だ。巨大ブーメランのように跳ね返る。それも麻生内閣不信任内閣決議案の賛成討論だから笑わせる。皮肉にも、野田総理は、麻生内閣の路線を暴走している。

 私は、昨年9月の代表質問で、このカラクリの解明状況とこれを壊す方向性、12.6兆円のうちいくらを復興事業に振り向けるのかについて、総理の覚悟を問うた。しかし、まるでやる気の感じられない官僚答弁だった。

野田総理のいうシロアリの巣は温存
 野田総理は、「天下りや渡り、ムダづかいのからくりを残したまま消費税を上げても、砂漠に水をまくのと同じ」とも語っていた。

 総理は、現役出向などを通じ、天下りは拡大。「シロアリの巣」を退治していない。そもそも、シロアリの住む独法は、民主党マニフェストでは「全廃」するはずだ。

 今回、閣議決定された独立行政法人改革はとんでもないシロモノだ。かつて福田内閣の下で私がつくった独法改革プランからすると著しく後退している。私のプランでは、「独法を各省の子会社から国民共有の財産に変える」というのが基本思想だった。

 このため、ガバナンスの内閣一元化、外部監査のダブルチェックを踏まえ、役員の任命権を総理大臣が行うこと、独法役員が子会社に天下ることを規制、ヘソクリ埋蔵金の召し上げなどを盛り込んだ。

 だが、今回の独法改革では、各省の子会社のままだ。だから、数合わせで合併するといっても、それぞれの省の中だけの合併にとどまり、技術系の研究所を省の壁を超えて合併するような発想が皆無である。こういう省庁縦割りの枠内でプランを作っていること自体、役所主導で改革のまねごとをしている証左だ。

国営の利き酒機関が必要なのか?
 なかには、酒類総研のように「国に戻す」というのもある。本来なら独法をステップに民営化に進むべきだったのに、なぜ逆行するのか。なぜ国営の利き酒機関が必要なのか。全く分からない。このやり方で例えば、国立印刷局も国に戻せば、財務省の局長ポストが1個増えるというもの。

 また、現在102ある独法を65に再編するというが、これこそ数合わせだ。肝心要の予算がいくらカットできるかが書いていないし、聞いてもわからない。

 更に、個別に見ても、民営化すべき都市再生機構などの大物独法も引き続き天下り先として温存する。私が行革大臣の時、株式会社化を決めた日本貿易保険も民営化しないで、全額政府出資法人とし焼け太りになっている。

 各省が好き勝手放題なのは、酒類総合研究所は廃止といって国に戻すなど財務省が身を切っていないからだ。財政状況が大変といいながら、身内には甘い財務省を霞が関各省はよく見ている。

歳入庁創設へ戦えない野田総理
 財務省が身内に甘いのはこれだけではない。

 「(マニフェストに)書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか。書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。それはマニフェストを語る資格がない」。

 野田総理は政権交代選挙の街頭演説でこう熱弁をふるっていた。今、ユーチューブで話題になっている。

 マニフェストに書いていないことは「消費税増税」だ。

 民主党は4年間消費税を引上げないとして選挙をやっていた。それを4年の間に措置しないことまで言っていないというのは詭弁だ。

 マニフェストに書いてあることは「歳入庁創設」だ。

 民主党マニフェストでは、「社会保険庁は国税庁と統合して「歳入庁」とし、税と保険料を一体的に徴収する」としていた。みんなの党のアジェンダでも国税庁と日本年金機構の徴収部門を統合すべきとしている。

 しかし、私が昨年9月、11月の代表質問で野田総理に問うと、「歳入庁の創設については、平成二十二年度、二十三年度の税制改正大綱でも設置する方向で検討を進める」としているだった。

 要するに、毎年、官僚が作文を書くだけで、まるで進んでなかったのだ。

 最近の社会保障・税一体改革素案では、「歳入庁の創設による、税と社会保険料を徴収する体制について直ちに本格的な作業に着手する」とされた。

 これも作文だけは鉛筆を舐めて前向きだ。しかし、昨日の野田総理の代表質問では一切触れられることがなかった。まるでやる気がないということだろう。

 歳入庁を作ると、財務省から国税庁の分離という議論が出る。財務省にしてみれば税務調査を背景に政治家や企業に圧力をかけるパワーの源泉の一つだから猛抵抗だ。厚生労働省は年金事務の移管に猛反対。

 要は、歳入庁創設は、官僚との戦いが求められる。しかし、野田政権は官僚と渡りあえる裏方部隊がいない。だから、いつも、口や作文では前向きなことを書くが、見せかけで終わる。

 官僚との戦いを要する政策と、国民に負担を押し付ける政策への取組み姿勢の落差が、あまりに激しい。

 今、国税庁と日本年金機構が有する法人企業統計は80万件も差がある。このことによる保険料の取りっぱぐれが最大で医療保険料6兆円、年金保険料6兆円あるといわれている。歳入庁をつくれば、こういう保険料の取りっぱぐれの問題が解決するのだ。

増税の前にやるべきことがある
 増税の前にやるべきことが沢山あるのだ。

 みんなの党は、本日、議員歳費3割・ボーナス5割カット法案を提出する。これで6度目だ。昨日の野田総理の演説では残念ながらこういう歳費カットについて語られなかった。これでどうやってマニフェストに書いてあった国家公務員総人件費2割削減をやるのだ。

 官僚との戦いを逃げて増税で官僚の既得権益を温存しようとする。何が「国家の矜持」なのか。

 こういう惨憺たる状況に対し、みんなの党は、増税の前にやるべきことがあるだろう、と徹底追求する。野田総理が行き詰れば当然解散になる。

 解散は、話し合い談合解散ではダメだ。ガチンコ解散がいい。

 談合解散は増税法案を通し、選挙後は増税翼賛体制が確立。公務員天国となり、経済は疲弊。給料は下がるが税金だけは上がっていく。官僚統制・中央集権体制は強化される。

 ガチンコ解散は、増税・官僚主導・大きな政府・中央集権vs成長・民間主導・小さな政府・地域主権のガチバトル!

 政界ビックバンの始まりだ。維新の会が200人擁立でみんなの党が100人以上。もはや第3極のキャスティングボート狙いではなく、第一極形成も夢ではない。

 総選挙と同時に、首相を国民が選ぶ参考投票を実施しよう。コロコロ総理が変わるのは野田さんをもって終了。