総評
伝統工芸部門、クラフト部門、自由創作部門の3つの分野に全国より99点もの応募がありました。
その内の73点は伝統工芸部門であり、圧倒的に花籠が多く大半を占めています。
今年の傾向と言えば、技術的には全体的にレベルが高く、丁寧に編み込んだ紋様の美しい作品が目立ちました。
しかし、苦言を呈すれば無難に形を纒とめている作品が多いという印象は否めません。フォルム(かたち)とは
視覚や触覚によって捕える事の出来る外見の姿だと思います。我々は形を見て、その奥に潜んだ本当の美しさを
感じとろうとするものです。だから、立体の作り手は形を使って創意工夫し、自分の作りたい本当の美しさを表現
しなければならないのではないでしょうか。
竹芸は立体と平面で美しさを見せる方法があります。テスクチャーとして質感、編目紋様の美しさを表現する技術
はもちろん必要で大切ですが、それ以上にフォルムを重んじなければ、作品の全ては生きて来ないと思います。
どの部門においても、もう少し実験的な作品を期待して止みません。
審査委員長 日原 公大
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