全国竹芸展 HOME > 第4回審査結果


第4回審査結果

審査委員 (50音順・敬称略)…柏村祐司・勝城蒼鳳・日原公大・宮崎珠太郎

最優秀賞

『 古竹手付盛籃「絣」 』土屋 為良

写真を拡大

『 古竹手付盛籃「絣」 』
土屋 為良


総評
栃木県は竹工芸が盛んで、特に大田原は地元という事もあり圧倒的な出品数でしたが、全国からも作品が
たくさん届くようになってきた事は大変喜ばしい現象です。
今年の傾向と申しますと、全体的に作品が大型化しバラエティーに富んでいます。それに伴って技術の向上が
見られ、テクスチャーなどに趣向を凝らし、色彩にも気を配った物が目立つようになってきた印象を受けました。
また、伝統工芸部門の出品者の数が圧倒的に増えてきました。しかし、クラフト・自由創作の部門の作品の内容
が伝統工芸に近いものが増えて、境がはっきりしなくなって来た事は、少し寂しい気がいたしました。
竹という素材を使い、もう少し自由に用途にとらわれない発想を期待している部門ですので、これから大いに挑戦
していただきたく思います。
技術的に高度になり作品の質が拮抗してくると、選考する苦労はありますが実に楽しい一時です。今年も審査員
の先生方が、長時間激しい議論の末、地味ではありますがコツコツと誠実に造り上げた伝統工芸部門の労作
「古竹手付盛籠(絣)」に決まりました。
竹工芸においては、編み方・組み方が大変重要な位置を占めているのです。では何のために編み方・組み方を
考えたのでしょうか。これは、竹の本来の外形を越え、意のままに造り、扱い安くするために考え出された大切な
造形要素であるのです。様々な美しい形の器や楽しくなるような物は素材感とフォルムが良い関係になってこそ
作者の思いが生き生きと伝わって来るのではないでしょうか。



                                                     審査委員長 日原 公大