全国竹芸展 HOME > 第5回審査結果


第5回審査結果

審査委員 (50音順・敬称略)…柏村祐司・勝城蒼鳳・日原公大・宮崎珠太郎

最優秀賞

『 盛籃「残照」 』佐藤 敦子 

写真を拡大

『 盛籃「残照」 』
佐藤 敦子


総評
今までと少し募集要項が変わり今年から伝統工芸、クラフト、自由創作のわくが外れました。
それ故かどうかは分かりませんが、今年は全国からの応募点数が100を超え、昨年より15点も出品が
増えたことは、とにかく喜ばしい限りです。
遠くは鹿児島から、そして満遍なく各県からの出品があり、第1回目の展覧会を彷彿とさせる活気に
溢れた賑わいを感じました。
ただ、1回目と大きく違うことは県内の出品者数が横這いなのに対し、他県からの出品者が一段と増え
た事です。これはすでに竹芸展が全国的に定着したことを意味するものだと思います。
今年の出品は伝統工芸作品が大半を占め、竹を素材にした自由な発想による作品が減りました。
この点においては、寂しい気が致します。その中で、技術的には審査員を驚かせるような高度な技法を
持つ作品が増えてきましたが、形の類似性が気になりました。やはり、まず第一に目を引くのは構成力
のあるデザイン性の優れた美しい物で、それを支えるものが技術力だと今回も実感致しました。
最優秀賞は、全員一致で盛籠「残照」に決まりました。赤と黒の彩色で染め付けた図柄は綿密に考えて
構成され、作者の思いを十分に表現した秀作だと思います。同じような形を作ってもひと味もふた味も
違う形になるのは、やはり造り手の美に対する意識が深いかどうかの問題だと思います。よい作品と
言う物は、必ずと言って良いほど、フォルムと色(素材)、線と面、表現と技術が調和しているものです。
どんな形が綺麗かとか、こんな色が素敵だ等と主張が現れ
たものには必ず美の女神は味方をするはず
です。恐らく、物を造られる皆さんは、人に見えないところで大変な苦労をなさっている事と思いますが、
それが何時しか楽しみと調和して、人の心を打つ美しく洒落た作品になるのです。


                                               審査委員長 日原 公大