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第6回審査結果

審査委員 (50音順・敬称略)…柏村祐司・勝城蒼鳳・金子賢治・日原公大・綿貫 清

最優秀賞

『 透し二重合わせ花籃 』藤原 広子 

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『 透し二重合わせ花籃 』
藤原 広子


総評
部門別審査の枠が外れて今年で、2年目に入りました。全国からの応募数は予想を遥かに超え、130余点を
数える出品になりました。審査会場に置かれた作品群の第一印象は自由な発想の物が少なくなり、類型化の
感は否めませんでした。しかし、重厚な伝統工芸の作品がほとんどを占め、これがアマチュアかと思われる
技術的に高度な作品が増えました。多少増減の変化はありますが各県からの応募が安定してきており、この
展覧会の存在が全国に受け入れられた様で喜ばしい限りです。
さて、特筆すべきは、受賞者の中に85歳の発想豊かな斬新で力強い制作者と明るい未来を予感させる8歳
と9歳の二人の素晴らしい才能の持ち主が含まれていることは大変感動的で、この事は竹芸の将来に益々
明るい期待が持てる事と楽しんで審査ができました。
最優秀賞は、今年も昨年に引き続き女性が獲得致しました。実に繊細で優雅な作品は文句なく審査委員全員
の意見の一致を見ました。
人が気付かない何気ない所に神経が生き届いた憎らしいばかりのこの洒落た作品は、才能はもちろんですが
地道な努力の賜物と直感致しました。冒頭で触れましたように、テクスチャーは伝統竹芸において大変重要な
要素で技術力が必要になってきます。これがなくては立ち行きませんが形との組み合わせによって幾らでも
その様相は変化するものです。創造の世界に於いても無から有は生まれることは奇跡です。創作意欲に駆ら
れて個々に創作を推し進める場合や師匠の門をたたき基礎から教えを請うなど方法は様々ですが、
いつも手本の中で制作をしていると類似性からは免られませんし何時か必ず自分自身の創造を突き付けられる
時が来るはずです。技術や師の美観を学ぶと同時に独自に他人の感受性や美しい自然の中からヒントを得な
がら創作を考えていく労力を惜しまないで下さい。今年も又、作品群を見ながら形のデザインに力点を置き、
テクスチャーに注意を払いながら仕事を進めることの大事さを改めて痛感致した次第です。



                                                    審査委員長 日原 公大