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第7回審査結果

審査委員 (50音順・敬称略)…八木澤啓造・勝城蒼鳳・日原公大・綿貫 清

最優秀賞

『 矢筈挿し盛篭「ハーフ」 』長谷川 渉 

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『 矢筈挿し盛篭「ハーフ」 』
長谷川 渉


総評
第7回目を迎える本展覧会の出品者数は、年々増加の傾向にあり嬉しい限りです。
なんと今回は、147点過去最高の出品を数えました。竹芸王国栃木県からの出品者は昨年より減りましたが
素晴らしい事に、他県からの出品者は群馬県を初めとして千葉県、神奈川県など日本全国から出品総数の
三分の一にのぼりました。この展覧会がいかに全国的広がりを見せて居るか、数字からも分かります。
本展覧会は巻頭にアマチュアと謳っていますが、技術的な面だけを見るとアマチュアという文字を取るべきかとも
思われる程、技術的に優れた作品で会場は一杯になる昨今です。しかし、敢えて苦言を呈すれば技術だけでは、
芸術にはならないことはすでにご承知の通りです。今回も作品の類型化の感は否めなく、手本通りの習作が沢山
有るのです。やはり展覧会に出品する以上は、独自の感受性を大切にして作品のデザインを考えるべきでは無い
でしょうか。
その中で今回最優秀賞は、(矢筈押し盛籠「ハーフ」)に決まりました。幅90センチ奥行き25センチ高さ28センチ
の大きな魚をデザインした盛籠です。大胆な面表現の迫力は全審査委員を圧倒し意見の一致を見ました。
普段何気なく見ている自然の形からヒントを得たこの作品は、鑑賞し使用する人に、様々な魚の楽しいイメージを
提供してくれます。この作品の特徴は、大きく動く面の処理に有ります。温もりを感じさせる面は人を優しくさせ、
連続する細かいテクスチャーの中に人の美味しい記憶を思い起こさせてくれる力があります。作品造りの楽しさは
真似をすることでは無いと問題提起をしている素晴らしい作品です。
物を造る楽しさは、人それぞれに幾通りも有ると思いますが、観鑑賞者を楽しくさせるものはさほど多くはありません。
コピーをすると言う事は先人の優れた技術を体得し、芸術の本質に迫るためには、最良の勉強方法の一つだと思い
ますが、それだけでは創作には成らないと言う事を忘れないで頂きたい。


                                                       審査委員長 日原 公大