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第8回審査結果

審査委員 (50音順・敬称略)…柏村祐司・勝城蒼鳳・金子賢治・日原公大・綿貫 清

最優秀賞

『 くもの巣編花籠 』大貫 透 

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『くもの巣編花籠 』
大貫 透


総評
毎年出品者の数が着実に増えており、今年は140点の出品がありました。5人の審査委員で誠に楽しく、
厳正に作品の審査をさせて頂きました。
さすがに竹王国、大田原市は35点の出品がありましたが、昨年は40点の出品がありましたので少し
減ったことは残念です。その代わり、宇都宮市・黒羽町・群馬県等からの出品者が今年も多くなり大変
喜ばしい限りです。
審査会場に所狭しと並んだ作品群の第一印象は技巧的に優れたものが多く、優劣つけがたく思いました。
案の定、審査員の評価は見事に分かれ、どの賞も僅差の勝負になりました。これは裏を返すと突出した
作品が無かったということです。その原因はと言うと、どの作品も形に独自性の弱さが感じられたのです。
つまり、お手本にあまりに忠実になり、写しのみに終わったか、編み方のみにとらわれて全体が疎かに
なっていると考えられます。何通りもの難しい編み方を駆使して技巧的に凝った作品には、作者が思う
ほど他人は感動しない場合もあるのです。それよりも、形、素材、編みの三つがどの分野も余すことなく
調和してこそ、人は美しいと感じるのではないでしょうか。その三つの中にはそれぞれの楽しみが隠され
ています。一つは、どのような形を自分が欲しているのか、独自性があるかを考える楽しみ、二つ目は、
竹の暖かい質感を肌に感じる楽しみ、そして三つ目は竹を美しく編み込んで形にする楽しみ等です。
創作することは無我夢中で、ゆとりなど有りません。しかし、作者が楽しんで上記のことを少し意識して
作品作りに励むと、きっと見る人を感動させるものが出来ると思います。又、来年も期待しています。


                                                 審査委員長 日原 公大