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第9回審査結果

審査委員 (50音順・敬称略)…柏村祐司・勝城蒼鳳・金子賢治・日原公大・綿貫 清

最優秀賞

『 波網代編盛籃「秋景」 』増居 外也 

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『 波網代編盛籃「秋景」 』
増居 外也


総評
今年の出品点数は昨年より若干減りましたが、それでも今回の審査対象になった作品総数は120点と
見ごたえがありました。その上、例年に比べると密度の濃い作品が大半を占めるようになり嬉しい限り
です。審査委員柏村祐司氏、勝城蒼鳳氏、金子賢治氏綿貫 清氏と私五名で、楽しく厳正に作品の
審査をさせて頂きました。ずらりと審査会場に並んだ作品は技巧的に優れたものが多く、何れも優劣
つけがたく選考するのに大変苦労致しました。審査員の評価は分かれ、どの賞も僅差の勝負になりま
した。
その中で大田原市の出品数は37点と前回より増してふえ、相変わらず竹王国の感が致しました。
しかも全国からの応募も、ここ三、四年毎年安定した出品数を得ていますことは全国竹芸展の存在が
幅広く浸透していると実感し頼もしく感じております。冒頭にも述べましたが確かに技巧的には年々見事
な作品が増えておりますが、より一層の展覧会の飛躍を願ってあえて苦言を呈することに致します。
丹念に様々な編み方で工夫を凝らした作品は年々増えるのですが残念ながら、ハッと目を見張るような
バランスの取れた作品が少なくなるのは何故でしょうか。師や先人たちの作品から範を得て作品を制作
するのは当然ですが、、形、バランス、比例などをそのままコピーしても同じようには成らない事はよく
ご存じの事と思います。多分、まったく同じ人間が二人として居ないように作品も同じ物は出来ない様に
思います。人を感動させる良い作品を作る上で大事なことは作者の感覚を高めることに有るようです。
それは、特別な事では無いのです。普段何気なく観ている風景をもう少し深く観察したり、身近な自然に
目を向けると思い掛けない美しい物、美しい事に気が付きます。ただ作品を造るために作るのではなく、
その感動を自分に必要なものとして取り入れて創作してみてはいかがでしょうか。
最後に例年のことですが30代、40代の若年層の出品が少ないことが気になります。
竹芸の面白さを広げる為には、若い出品者の獲得が今後更なる発展の課題であると感じております。


                                               審査委員長 日原 公大